生きねば
生きねばって言葉の意味が、映画を見る前と見た後だとすごく変わっていた。
うーん、奥行きが出てきたというか、風が吹いてきたら飛んじゃいそうな
軽さが一切なくなって、ずっしりした感じ。
そういう風に、感じている世界が少し変わるのって、すごい映画なんだと思う
観てる最中は、特に激しい心の揺れ動きはなかった。涙は一粒も出なかった。
ただ「美しいな」と思う瞬間が沢山あった
汽車から見える外の世界、広い空、別荘での婚約シーン、黒川ご夫妻に見守られながら結婚していくシーン、後、社内で遅くに勉強会をやっていた時の、みんなのきらきらした表情
美しさに、ぼうっとした。
都合のいい女過ぎるって、批判していた人たちもいた。
ただ、私は菜穂子の気持ちわかるよ。
出会って結ばれた瞬間から、登場人物全員も私たち観客も、菜穂子が死する運命でありその時間が刻々と近づいていることを知っていた。
その限りある生を全て一緒にいることを望む菜穂子。
あなたの夢がいつからか、2人の夢に変わっていった
(ありがとう by いきものがかり)
次郎が夢を追い、真っ直ぐ進んでいく姿。その横顔を見ているだけで幸せだし
自分の命が短いからこそ、隣で生きていきたいと思ったんだろうな。
だってさ、あーんなに楽しそうにしてるんだよ。
自分のやってることに、没頭して、一生懸命頑張って
疲れたら自分の隣りで寝てくれるんだよ。
すごく幸せだよ、大好きな人と一緒に生きられるって。
クリエイターとして何かを作ることの、なんだろう…葛藤も見えた気がします。
自分の作った飛行機で、人が死ぬという事実。
だけど、飛行機を作りたい、真理を追究したいという欲望
次郎自体は葛藤していなかった、だけど、宮崎駿をはじめ創作者たちは思うのかもしれません。
自分が生み出す何かが人を傷つける可能性を。
それでも自分が何かを生み出したいと願ってしまう自分の根っこからくる欲望と。
答えはでないけど
それでも、理想の飛行機に向かって純粋にただひたすらに追い求めている次郎は
すごく美しかったんだ