おひとりさまの老後 上野千鶴子
結婚して新しい家族を持つというのは、幸せなことばかりではありません。
実両親、義両親との新しいお付き合いという、めんどくさい仕事もあります。
介護やら同居やら暗澹たる二文字も頭をよぎり、彼らが認知症にならないために何ができるのかに関心があった時期もありました。
▶︎両親、義両親の要介護状態を避けるためにできること
http://b27.hatenablog.com/entry/2016/11/20/145451
そのように、老後について関心があった私にとって、上野千鶴子先生の"おひとりさまの老後"を読むことは自然な流れでした。
もともとその老後は自分自身のではなく、両親、義両親の老後を想定していたのですが…
自然に、私自身の老後、そして生き方について考える本でありました。
いくつか、印象に残った箇所と考えたことを。
子どもとの同居率の低下(1980年約70%→2008年44%)
高齢者の幸福度調査、中途同居の人は最初から同居or一人暮らしより幸福度が低い
年老いた親が独居していることに罪悪感を覚え、近くまで呼び寄せるという図式は"親孝行"と捉えられることが多いでしょう。
ただ、このデータを見る限り、親が住み慣れた生活やコミュニティを離れ、新しい環境を強いることのデメリットは予想以上に大きいことが伺えます。
まだ元気なうちは別居し、頻繁に顔を出したり電話をしたりする方がよっぽど親孝行なのかしらと思いました。
呼び寄せるならば、例えばすぐ顔を出せる場所にアパートを借りて近居したり、デイケアなど人との関わりが持てる仕組みを一緒に検討するなどが必要そうです。
二村ヒトシさんの言葉"あなたの居場所とはひとりっきりでいても淋しくない場所のこと"
今の生活を振り返ると、人と関わることが少なく、彼が帰ってこない夜は寂しさを感じることも多いです。
だけど、自分一人で楽しめる時間、場所を持ち、居場所を作ること、そしてそれを味わいつくすこと。いずれ死ぬ時は一人になっていくことを考えると、おひとりさまを楽しむことも大人の嗜みとして覚えていきたいです。
頭の片隅に入れておきます。
辻中俊樹さんは団塊ジュニア世代のフリーターのことを"前倒しの年金生活者"と表現。曰く、ストック(貯蓄)志向がなくてフロー(取り敢えず必要な収入で満足する)、将来より現在 の利益を優先する行動などがそれに当たるとのこと。家族が年金保障の役割を担うことでやってこれたと上野先生は説明してます。
うちの弟カップルがまさにこの通りの生活スタイルを送るのだろうと思います。弟は大学中退のフリーター、弟の彼女も大学院まで出ても正社員になるつもりはない"夢追い人"です。
彼らの人生、私に迷惑をかけないならば好きなように生活していけば良いと一線はおいています。
ただ、信頼できる大人として助け合って生きていくことが出来ないのは残念ですね。
今後の人生、助けてあげることは想定出来ますが助けてもらうことや、頼りにすることは想像し難いです。
身近に、不幸になって欲しくないけど将来的には不安な存在がいるということは、しっかり線引きをしない限り消耗してしまいます。
丁寧語は相手との間に距離を置く技法。丁寧語を使い続ける限り"あなたとこの距離を詰めるつもりはありませんよ"というメッセージになります。(儀礼的距離化)
適切な線引きを置く上で、これはいい考え方だと感じました。
今更弟に対して敬語は使えませんが、家族とのお付き合いの仕方にこの考え方を取り入れてみます。
全体的な感想
自立は自分で考えて決めること。
従来の"こうするものだ"という社会的通念やら周りの目から自由になり、自分がどんな風に生きていきたいか常に考えていきたいと思います。
その、考える先に"老後"もあります。
もちろん、28の私にとって30年以上先のことは社会情勢も大きく変わりますし、家族の形がどうなるかわからず、不確定要素が大きいです。
なので、老後のことで頭を悩ませたり、過度に不安になる必要はありません。
ただ、人付き合いや、お金、健康など、今もこれから先も大事になっていく領域に関しては、開拓したりメンテナンスしたりしていくことが大事そうと思いました。