木馬の時間

ブログタイトルは俵万智さんの大好きな歌から。ゆっくり、前に後ろに。

立ち直るための心理療法 矢幡洋

 

立ち直るための心理療法 (ちくま新書)

立ち直るための心理療法 (ちくま新書)

 

 



仕事柄、精神疾患と診断を受けた当人やご家族と関わることがよくあります。
その時大事なのは、自分なりにその疾患を理解し、わかりやすい言葉で説明できる力。
それって、単に、"二週間以上ほぼ毎日抑鬱状態が続いて居てー"と、診断基準を並び立てるだけではなくて。
"なかなか朝起きられないのとか、自分を責めてしまうということが、何週間も続くのは、うつ病の症状なんですよ"
って、目の前の人が一番わかりやすい表現で、説明することに意味があります。
難解な専門用語の知識を、目の前の相手に理解してもらいやすいように翻訳する…とでも表現しましょうか。

矢幡先生の説明はその点非常にわかりやすく、ああ、こういう表現なら受け容れやすいか!と、大変参考になりました。
精神疾患とはなんぞやと思った人が、全体的な見取り図を頭に入れるためにいい本だと思います。

そして、本全体に感じられる矢幡先生の症状に捉われないで生きて欲しいという願い。
症状を虫眼鏡で見つめ、それを一切合切なくすのを人生の一番の目標にしてしまう。
あるあるですね!

私は"自分が太っている"、"痩せたら全て上手くいくんだ"という考えに捕らわれた時期がたりました。
その結果、他人と自分の足の細さをいつも気にするようになり、ダイエット情報をネット であさり続けました。
ダイエットのこと、体型のことばかり考えて、自己否定して…
10k痩せるなどと、無謀な目標を立てるので、勿論実現せず…それでまた自己否定感に陥るという。

今より外見の魅力を高めたいというのはが目標で、ダイエットはその一手段でしかないのに、ダイエット自体が目標になっていました。

矢幡先生は、
マイナスの何かがない状態を目標にするのではなくプラスの何かが実現した状態を目標とした方が良い
と語っています。

わたしたちにとって、うつ病を治すことやダイエットすることは、より充実した生活を送るための一手段なんですよね。
目標設定することは、自分の生活でもカウンセリングでもありますが、それが手段なのか目的なのかわけて考えていこうと思います。