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木馬の時間

ブログタイトルは俵万智さんの大好きな歌から。ゆっくり、前に後ろに。

愚行録 【読書記録】ネタバレ注意

映画を見るよりは本を読みたくなったので手に取りました。

一家惨殺の被害者夫婦を知っている人たちにインタビューをしていく話。
一見満ち足りた幸せそうな夫婦…だけど、語る人のスタンスや価値観によって人物像が異なる。
うん、むしろ語る人たちのコンプレックスや何を拠り所に生きていくかが明確に見えました。

内部外部の差を気にしてないと言っていた人は、きっと誰よりもアンテナを高くして、内部外部の差を観察していたんですよね。
奥さん方のヒエラルキーを気にしていた人は、その部分に自分のコンプレックスを刺激されていたんですよね。
嫉妬とか虚栄心とか、気にしてないよって言って実は気にしてる感じとか、リアルだと思いました


世界の見方は、人によって大きく異なります。
そして、世界をどう語るか、その語りは、その人自身をすごく映し出してると、感じました。
語り…って面白いですね。

それぞれのインタビューに、女の子の独白も続きます。
一体兄弟は誰なんだろう?
淡々と自らの虐待経験を語る彼女、まさかクライマックスでそうなるとは…
その淡々さが哀しかった。
幸せになりたかっただけなのに、満たされなかった。
満たされなかった自分と、幸せそうな被害者夫婦。

愚行録の愚行は、彼女の犯罪を指すのでしょうか。
幸せに生きている一家を惨殺なんて絶対してはならない。
ただ、うまくいかなかった彼女が、やり場のない気持ちを全て幸せな一家にぶつけてしまった、それがただただ哀しかったです。
幸せに生きたかっただけなのに。

この本の登場人物の価値観は、あまりに偏りすぎてると思います。
みんながみんな、学歴とか、所得とか、容姿とか、そういうものに価値を感じすぎている。
その尺度しか持っていないと、苦しいし、辛いですよね。
自分は持たざる者だと思った時の立ち位置とか、難しいですよね。
その価値を重視していることすら見えなくなって、人を貶めたり、見下したり、そういう行為も十分愚行のように、わたしにはみえました。