木馬の時間

ブログタイトルは俵万智さんの大好きな歌から。ゆっくり、前に後ろに。

フィギュアスケート全日本選手権雑感

全日本は、選手たちの熱い思いが伝わってくるすごいいい試合でした。
毎年毎年思うことは、ありがとう。
並々ならぬ努力をしている姿を、その集大成を、見せてくれてありがとう。
大半の選手が10歳以上年下になってしまいました、みなさんの、一滑り一滑りに、わたしは甘えてる場合じゃないなと背筋が伸びる思いです。たくさん学ばせていただいています。
一発のその舞台に、恐怖心や不安を力に変えて挑もうとする表情。
今年も胸がいっぱいになりました。

宮原知子選手、努力は裏切らないと言い切れるほど、逃げずに向き合ってきた人。
珍しく、演技後に涙ぐんでいた表情にこちらもうるっと。
濱田コーチも泣いていらっしゃいましたね、よっぽど思い入れがあるのでしょう。
怪我をして、今までの"これ以上ないくらい練習する"ことで自分に自信をつけてきたやり方が通訳しなかった時。
彼女なりにやり方を変え、出来る範囲で最大限できることをやっていたこと。
おめでとう。花が咲いた。

本郷理華選手も、ただただ美しかった。
彼女は、類い稀なほど自分が美しいということに気づいていない感じの素朴さがとっても魅力。
きっと色んな想いを感じてきたでしょう、歯がゆさもあったでしょう。
長い手足を活かすダイナミックな演技、諦めないと最後の一瞬まで力を振り絞った姿。
わたしはあなたをリンクの上で見続けたい。

樋口新葉選手は、瞳にいろんな感情が溢れますね。
SPの演技前の暗い目、
演技後の不安や混沌をなんとかコントロールしようとしている表情が印象的でした。
力強い、魅力的な選手。
五輪に届いて欲しいと思います。

本田真凛選手の軽やかさ、見惚れてしまいました。
これからどんな選手になっていくのでしょう。
オリンピックに行きたいと言った彼女が四年かけてどう成長していくか、とても楽しみです。
きっと器用なのでいろんな曲を一見滑りこなせちゃうのかしらと思うのですが、そうではなくて、その曲にのめり込んで咀嚼して真凛選手なりの解釈の、ちょっと粗削りなくらいのものを見てみたいです。
きれいな曲、可愛い曲を素敵に滑るのでは彼女の演技がBGMのようになってしまう気がします。

三原舞依選手、最後のインタビューの際に、"寒いと滑れなくて…"とさらりと言っていた言葉に、彼女の抱えているものを見せてもらった気がしました。
難病を克服して…と、解説のアナウンサーは事あるごとに言いますが、彼女の口から病気に関してのエピソードは聞かないので、あたかも完治して何事も問題なく生活しているように感じてしまっていました。
世界平和を願ったFP、そんな大きなものをテーマにした理由をいつかまたインタビューで見てみたいです。
ない状態になって初めて、あるものの意味がわかるように。
きっと三原選手は、一昨年の病からも何かを学び、それを昇華しているのだと推測します。
それが、彼女の演技に不思議に漂う透明感や希望あふれる感じに現れてるんじゃないでしょうか。
まだ高校生、これからも演技を見せてくれるでしょうか。楽しみにしています。

鈴木明子選手の振り付けで演技している選手、過去の選手が使っていた曲を使っている選手、そしてトリプルアクセルを飛んだ選手。
今までの選手の積み重ねがあって、その上に今の選手がいるんですね。
今の選手達はけして、誰かの二代目や、ポストなんちゃら…ではありませんが、でも、連綿と続く時間の流れで先輩方の影響を確かに受けて、続いていくんだなと。
こんなにも長い時間、同じ競技を見ていくと、こういう発見もありますね。
浅田真央選手はもう全日本に出ないけれど、浅田選手を見て夢見た子達が全日本に出てきて、…なんだろううまく言えないけれど、続いていくんだなと、それにも感動しました。
全然話は違いますが、私が死んでも娘が生き続ける事で、わたしの何かは生き続けるだろうとか、そういう思いと同じ感じ。

さぁ明日は男子だ。