ママだって人間
同じ作者の、"母乳がいいって絶対?"に次いで読んでみました。
すごく良かったです。
なんだろうなぁ、妊婦も、産後も、こうしなきゃいけない、こう言わなきゃいけないという"正解"があって。
いやいや、でもそれ違くない?と、田房さん自身が経験して感じたことを書いているのが面白い。
わたしも、無意識のうちに"正解"に沿っていたんだなぁってことに、気付かされました。
"大変だけど子供は可愛くて幸せ!"
"おっぱい垂れたけど子供のためだからそんなもの二の次に!"
そう言わなきゃいけない感じ、ミルクでも全然いいのに、いろーんなところで"ミルクでも大丈夫"(でも母乳が一番いいんだからね)って、カッコ書きを言われる感じ。
正しい、みんなから叩かれないものが、正解じゃなくて、わたしが感じたこと、それが正しいんだ。
頑ななまでに、自分の感じ方を守って、その境界を飛び越えようとする雰囲気やムードにはすごく敏感な田房さんが興味深かったです。
きっと、それは、その境界線を土足で踏み越えてくるようなお母さんとの関係があったからなんだろうな。
わたしもおっぱい垂れたのも乳首が大きくなったのも、すごく悲しかったです。
女性として魅力的な身体ではなく、子にとって都合が良い身体に作り変わって行く感じから、もう私は女として終わったのだなぁなんて思いました。
傷ついていいんだと教えてくれたのは、田房さんです。
産前産後の性欲について赤裸々に書いているエッセイ漫画、内田春菊さんの私たちは繁殖しているシリーズくらいでしょうか。
自分の身体が変化していき、それに伴って性欲ももちろん変化します。
性欲も、一人の成人女性である以上あって当然で、それが産前産後だろうとあっていいのにね。
大好きな夫に、自分の変わってしまった身体を見られたくなくて、元彼氏に連絡を取ろうとするそのひねくれた思考回路はすごく共感できます。
産後の女性にはおすすめかな。
でもわたしは、田房さんは絵より文章の方が好きです。
単純な絵で、線が太い感じで、喜怒哀楽を激しく書いている感じが。
そんな単純明快なことを描いていないのに、画調が単純明快で、そのギャップがわたしには受け付けないようです。
テーマは大好きなので、これからも田房さんの本をたくさん読み続けようと思います。