高校生の時、友達が"好きな人は3人いた方がいい"と言っていました。
ちょっと周りから距離を置いていて、スカートも闇雲に短くするんじゃなてこだわりの長さがあって、黒タイツがいつも上品にキラキラしたものを使っていた子。
大人っぽくて、ミステリアスで、頭が良い子。
無邪気になぜと聞いたわたしに、お互いにとって一人じゃない方がいいのよと、にっこり笑って答えてくれたことを覚えています。
同じことを院時代の友人から聞いたこともありました。
30を手前にしたわたしは、彼女達の言葉を思い返してふと思います。
それは真理かもしれないと、
3人のうち、1人は確実に夫です。
ずーっと夫でしたし、これからもきっとずーっと夫だろうと思ったので結婚しました。
一番幸せになっていて欲しい異性です。
一番一緒にいたい異性です。
もう2人は、現実に会える人じゃなくて良いのかもしれません。
それこそアイドルだって、小説の登場人物だって、過去に出会った恩師だって。
いっそ、同性だったり、モノやコトであっても。
なんだろう、自分の心を奮い立たせてくれたり、女性として魅力的でありたいと常に思わせてくれたり、人生の潤滑油とでもいいますか。
人間にはありがたいことに想像力があって、頭の中で楽しめることができます。
それが頭の中であることの哀しさや恋しさもきっと含めて、生きる喜びなのかもしれません。
好きな人が1人きりだと、自分の情熱がそこに注ぎ込まれてしまうと、人生の質がその相手にかかってしまうんですよね。
大学時代のわたしはそうでした。
今の夫が大好きで、夫とのデートを生きがいに、それを最優先にしてバイトもサークルも組んでいました。
気持ちが重いと言われたこともありました。
もっと目の前の大学生活を楽しめばよかったと少し後悔しています。
そう、好きな人が3人いたほうがいいというのは、浮気のススメとかそういうこじゃなくて、いろんな人との関わりを大事にして、1人に依存しすぎないようにしよう…という戒めなのかしらと、今のわたしは捉えています。
目先の欲求に駆られて、大切なものを傷つけることはしたくはありませんが、でも、やはり好きな人が出来ることは人生の喜びだと思っています。