題名で惚れていつか読みたいと思っていた本、やっと読めることができました。
一人の女性が、いろんな人と出会って本を紹介していく中で、自分のありかたについて見つめなおしていく話。
そんな風にまとめてしまうと、この本の面白いところが全部消えてしまいそうですが…
なにがいいって、等身大の自分の傷つきやもやっとした思いやら、そんなことを書いているのがいい。とっても共感できるし、そうなのかもしれないなぁと、学びが大きかったです。わたしにとって。
自分がこの人ヤバイなーって思っていた人に、自分のヤバさを指摘されて恥ずかしくなるシーンは面白くてニヤニヤが止まらなかったです。
来てくれた人になにを提供できるだろうと考えることに楽しみを感じている花田さん。ヴィレバン時代も、X時代も、そして今も変わらず好きなんですね。
そんな風に、自分がいろんな営みの中でなにに楽しさを感じるかって、自分の本質的な部分であまり変わらないのかも。
あとは、それがどの領域でできるのか、環境を調整すれば良い話で。
花田さんも、本書の中で言っているように
私が突きつけられているような気がしていた普遍的な議題ーたとえば「独身と結婚しているのとどちらがいいのか?」「仕事を家庭のどちらを優先するべきか」「子供を持つべきか持たないべきか」そもそもの問いが私の人生の重要な課題とずれていたのだ
その問いは、世間があなたに問いかけてるものかもしれない。
けれど、あなたがあなた自身に持つ問いは、もっと、あなたが重要だと思っていることで良い。
世間の尺度ではなくて、自分の尺度で生きて良い。
だから、自分のやりたいことができているかという軸で、自分を見ることができる。
それによって、社会の、やりたくもない軸で自分をジャッジして自己否定に陥って、でもやりたくないもんだからやれなくて…という、自己否定感に陥らなくてすむ。
昔、メジャーリーガーの大谷くんが、自分にとって成功するか失敗するかは大きな問題じゃなくて、挑戦するかどうかのほうが大きな問題と、語っていたことがあって。
その言葉を思い出しました。
自分の価値観で自分の人生を見ることの強さを、改めて感じられました。
あとは、"その人を知らないと本を勧められない、本を知らないと勧められない"と、相手と本とどちらもよく知っていること、それから、その相手にその本を紹介する理由がなくてはならないこと、私の心理の仕事においても同じことが言えると考えました。
あまたある、心理療法、Cl.を理解するためのアプローチ方法、それに基づいた助言。
その助言は、相談者をよく知り、その理論もよく知り、なぜその相談者に、その助言をしたのかを言語化して説明できることが必要。
そして、相談者をよく知るためにも、目の前の人と誠実に接して語りに耳を向けることだけではなく、その相談者をよりよく理解する社会的文脈、医学的文脈を自分の中に持っていくことも不可欠なんだろうな。
それこそが、プロフェッショナルなのかな。
人を"どこかに行く途中の人だ"と、プロセスの人と捉える人間観も面白かったです。
人間って、プロセスなのかもしれない。