発達について改めて知識をまとめたいと手に取ったこの本。
知力や感情、家族関係や幸福感など多岐にわたる発達を概観している本書。
改めて心に留めておきたい知見も沢山ありました。
◎加齢にともなう感情の成熟ー寛容性の獲得(p.55-56)
自分の人生を回想する語りの中で現れる感情体験を、喜び・楽しさなどの肯定感情、悲しみ・怒りなどの否定的感情との2つに分類した時。
加齢に伴って、否定的感情は減り、肯定的感情が増えるといいます。
年齢を重ねるにつれて、自分の人生にあった出来事への解釈が変わっていくのでしょうか。時がたち、穏やかにその出来事をみつめられるのでしょうか。
人が生まれ、年を重ね、死んでいく営み。その営み全部を「発達」と呼びます。
発達とは、時にネガティブな感情を以て受け容れます。
それは外見的変化や体力的な変化を指して、マイナスと捉えているようですが、
…ただ、年を重ねることにこういった変化もあるんだという、その事実も
しっかり受け取っていたいものです。
◎女性の働くということに関して(pp112)
著者は、高学歴化・職業体験による女性の心理変化として、以下のことを述べています。
料理をする、美味しいものを食べる、映画やショーを見るといった日常的家庭的な活動では満足できなくなり、自分の力を社会で発揮し評価される、人とは違ったことをする・できうるなどに、意欲と達成感をもつことになりました。家庭役割だけの生活は、このような意欲や力の不完全燃焼の状態に陥らせます。
自分の力が活かされ評価され鍛えられて成長する達成感を味わい、仲間からの刺激、自分の稼得で生きる自由と満足感など、個人として生き自分の成長発達を熟知するようになりました。
これを読んだ時に自分、そして自分の母をダブらせました。
私は、専業主婦になりたいとは一切思ったことがありません。
まだ社会で働いた経験がないからこの発言が出来るのかもしれませんが、柏木さんが言っているようなこういう意識から、そういう考えに至っていると考えさせられました。
「自分の稼得で生きる」「自分の力を社会で発揮し評価される」「人とは違ったことをする」こういったことを行いたいと強く願っています。
そうして、ずっと専業主婦として私たち兄弟を育て上げた母は、今は専門職として働いています。
薄給で激務ですが、個人として生きる喜び、仲間と刺激しあうこと、徐々に職場で必要な力となっていくこと、そういったことに生きがいを感じている姿を感じられます。
何故自分が仕事を大切にしたいか、また、母は何故今仕事をしているのか、その2点について改めて考えさせられました。