木馬の時間

ブログタイトルは俵万智さんの大好きな歌から。ゆっくり、前に後ろに。

明日ママがいないの舞台「児童養護施設」とはいったい何?

明日ママがいないというドラマに関して議論が広がっています。

それに関する持論を述べるよりは、まずその舞台である児童養護施設が何かについて、

一人でも多くの人が知った方が有意義かと思ったので、まとめます。

 

児童養護施設とは?

「子供の擁護に力の足りない家庭にその力を貸し、力尽きた保護者に代わって用語を引き受けながら、力の回復を助ける」ことを使命とした施設です。

2,3際から18歳までの児童約3万人が現在入所しております。

子供6人につき職員1人が配置されるのが一般的です。

 

◎子供たちの背景は?

両親共に死亡という子供はほとんど見られず、両親もしくは片親は生存しています。

離婚による家庭崩壊、極貧による浮浪、親の病気や拘留などが多くを占めます。

 

◎子供たちの問題は?

子供たちは3重のトラウマを抱えているといわれています。

①施設入所前の家庭において、家庭崩壊に伴う大きなトラウマ

②施設入所による人生早期の親との分離

③施設入所後の他の子供たちの関係の中でのトラウマ

特に②に関しては非常に考えさせられます。

ある被虐待児のトラウマ治療に奔走されている先生は、子供のトラウマは親から虐待を受けたことより親と分離させられたことが強かったりすると話されていました。

子供を守るためにした行為が子供の一番のトラウマになるなんて、複雑な気持ちになります。

 

児童養護施設の目的とは

以上のようなトラウマを抱えた子供たちにが、将来社会的な生活を行っていくための学習の場であり、生活の中で愛情を体験していく場です。

必要に応じて、心理士による心理療法も適宜行われております。

 

◎今回の出来事に関して思ったこと

ドラマの題材として、取り扱ったことはすごく意義のあることだと思います。

マスメディアによって、そういう施設があることを、世に知らせること、

それはメディアの役割の一つだとも思います。

ドキュメンタリーではなく、ドラマとして仮想現実で描いているとはいえ、

そのドラマで描かれたことは必ず現実に波及します。

人間の脳の児童養護施設、及び、そこの職員、入所している子供たちに対するイメージは、ドラマによってかなり影響されていくことでしょう。

その影響によって、健全な児童養護施設の運営もしくは、そこにかかわる人たちに弊害が起こってしまうならば、それは配慮すべき事態だと考えます。

日テレはスポンサー離れにも関わらず最後まで放映すると主張しております。

その主張が、何らかの使命感もしくは信念に基づくものなのか、それとも意地だったりもうやめれない事情なのかはわかりませんが、いろいろなものに影響するという覚悟、誰かの人生を悪い方へ傾けてしまう可能性があるという覚悟を以ての放映であることを願っています。

その覚悟がないならば、あまりに甘すぎるとも、思います。

 

参考文献

乾 吉佑 他 心理療法ハンドブック(2005) 創元社