木馬の時間

ブログタイトルは俵万智さんの大好きな歌から。ゆっくり、前に後ろに。

中高生のためのメンタル系サバイバルガイド

 

中高生のためのメンタル系サバイバルガイド

中高生のためのメンタル系サバイバルガイド

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2012/07/28
  • メディア: ムック
 

保健室、学校の図書館、家庭、子供が手に取りやすいところに置いておきたい本です。

むしろ、保健体育の教科書にしたいくらい。

思春期、青年期前期である中高生は、疾風怒濤の時代であります。

自分の心身の変化、周りの心身の変化、他者と比べたり、親や先生に対して葛藤が起きたり、自由じゃないけど気持ちは自由を追い求めたり、中高生は自分を振り返っても、一番苦しい時代でした。

そんな中、自分の趣味でも、安定している大人でも、家族や友人とのつながりでも、何か拠り所があることがきっと希望になるでしょう。

この本を読んで、知識というものも拠り所の一つになりうると感じました。

ネットで検索しても見つけられない、良質で確かな知識です。

 

思春期に起こりそうな危機に応じた具体的な指針が書かれているため、何かしらヒントになる知識が手に入るでしょう。

大人であるわたしも、いくつか読む中で学ぶことがありました。

 

例えば睡眠について。

明日早起きしたいと思った時、普通は早く寝ることで調整しようとします。

しかし、今夜何時に眠れるかは、今朝何時に起きたかで決まります。

なので、早起きしたいときは夜寝る時間をコントロールするのではなく、前日の朝起きる時間をコントロールすることが大事そうです。

不登校昼夜逆転してしまう子はざらにいて、その子たちは入試など早起きしなきゃいけない時への調整で苦労しています。

こういった知識があるかないかで、適切に頑張れることができます。

必要なのは根性とか、意思とかそんなものではなくて、仕組みの知識です。

 

また、思春期の時期の性欲についても丁寧に書いていることがとても良かったです。

性欲という、新しい欲求に対して、社会の中で認められる形で欲求を充足させることが大事だとフラットに目標をたてています。

食欲は、小さい時に親と一緒に訓練しています。お腹が空いても、時と場合によって我慢しないといけない時があるし、食べるルールやマナーを守っていくことが必要です。

性欲は、子供一人ひとりが自分の力で、社会という制約の中での充足の仕方を理解していかなければいけません。

特に障害を持つ子など、自分一人で学び理解していくことが難しいタイプな子には、とりたて親や学校が性教育していくことが大事だと感じます。

また、女性の性欲は、無いものとされているので、それ自体への罪悪感や自己嫌悪が付きまといかねません。

娘を育てる上で、どんな形で性について親が関わっていくのか、私自身が学んでいかなければと改めて思いました。

 

差別も性も…全てにおいてですが、正しい知識を持った上でネット上の玉石混交な情報に立ち向かっていてほしいと感じます。

そうでなければ、その海に翻弄されてしまう恐れがあります。

自分を守れる力を持つまでは、ネット利用は親の監視下で行いたいですし、その力を育てる関わりも親としての役割だと感じました。

その力をつけるための一つとして、この本が役に立つと感じました。