- 作者: 阿部彩
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 新書
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子供の貧困に興味があったので、5年前に出されたこの本を読んでいる。
その中で、子供の貧困それ自体が問題というより、
世代間連鎖というか、貧困家庭で育った子供がまた貧困層に成長してしまうという
格差の固定化が問題。
何故、格差が固定化してしまうかについての考え方が興味深かった。
①投資論
塾やおけいこ事、私立の学校にいくことができる直接的な投資だけではなく
もっと子供に沢山の機会を与えるという間接的な投資という部分。
この間、家に本棚が2つある家庭の子は成績が良いみたいな研究結果があったけど、
書物に触れる習慣、映画を見に行ったり、外食をしたり、旅に行ったり
そういう経験を子供時代に積めるかどうかってその子に影響するということは想像に難くない
②良い親論
(A)モデル論
親は子供のモデルになるため、勤労や学業に対する考え方が子供に引き継がれるというもの。
吉川氏が提唱している「学歴下降回避メカニズム」は、親が大学いったから
自分も大学に行かなきゃっていう意識が芽生えるっていうのは納得。
(B)ストレス論
経済的に困難さを抱えていると余裕のなさから、夫婦間の喧嘩、親戚間の不穏など
ストレスがかかりやすい環境にある
…これすごーく身に覚えがあります。うちの両親が喧嘩していた時は100中90
位お金の話だった。
中流階級であるうちでもそうなんだから、もっとお金に頻拍していると
余裕なくなり、喧嘩したりストレッサーになったり、親戚にお金借りて
関係性が対等じゃなくなったりするなんては想像に難くない。
多分貧困の格差の固定化と聞くと、①の投資論ばかり想起する人が多いと思うけど
そこだけではなく、いろいろな点から「カエルの子はカエル」になってしまうんだな。
こういったデータを見ると、逆に「タカがトンビを産んだ」例はどのように達成されたかが気になります。
貧困家庭から成功した成功者の人だけならず、原家族が貧困層だったのにもかかわらず、子供は中流以上にのし上がれた例はある一定割合います。
彼等はどうして成功出来たのかそれを紐解く概念に「レジリエンス」というものがあります。
レジリエンスは逆境にも関わらず不適応状態に陥らない個人特性であって、
「自尊心」「ユーモアのセンス」「安定した愛着」「支持してくれる人がそばにいれること」などで構成されているという研究があります。
確かに、貧困家庭であっても、笑いの絶えない家庭で、親子間が愛し合っていていえれば、むしろ子供はお金の大切さを学びつつ健全に育っていく気がします。
…支持した人がそばにいるという部分で、その支持してくれるのは必ずしも親ではなくていいはずです。
彼らの成長を見守り、「あなたを見てるからね」「幸せになってね」という視線でかかわってくれる大人の存在が重要なのかな
そういう支援は出来るのかな?
ちょっと考えさせられました。